6万点の骨片から“デニソワ人の腕”。DNAではなく古代タンパク質で5点を特定
中国雲南省の蝙蝠洞から出た6万点以上の骨片の中に、デニソワ人の頭頂骨、歯、そして初めて確認された前腕の橈骨が含まれていました。DNAではなく、長く残りやすい古代タンパク質の配列が身元を示しました。
研究チームは5点をデニソワ人と同定。シベリアのデニソワ洞以外では最も豊富な同集団の化石記録だと報告しています。

まず形で22点まで絞り込む
骨のコラーゲンを質量分析するZooMSは人骨探しに有効ですが、過去の洞窟では人類化石の割合が約0.1%しかなく、全点を測るのは非効率でした。そこで形態から人骨らしい22点を選び、ZooMSで3骨片を確認。既知の2本の歯も詳しく分析しました。
各試料から6~16種類の内在性タンパク質を回収し、デニソワ人特有のアミノ酸変異を確認しました。歯のエナメル質にY染色体由来タンパク質があり、2本の歯は男性のものと分かりました。
腕は現生人類とネアンデルタール人の特徴を併せ持つ
化石は約16万7,000~13万4,000年前。橈骨の上端は大きく一部はネアンデルタール人に似る一方、外形と断面は現生人類に近い“モザイク”でした。
ただし橈骨は一部分だけで、筋力や具体的な行動を直接復元できません。タンパク質による系統判定は強力でも、完全なゲノムや個体の顔・全身像が得られたわけではありません。
世間の反応
デニソワ人は遺伝情報が先に知られ、骨格の姿はまだ断片的です。今回は大量の“動物骨らしい破片”から人類の腕を見つける探索法そのものも成果です。
出典
- Nature: https://doi.org/10.1038/s41586-026-10976-9
- Chinese Academy of Sciences / Phys.org: https://phys.org/news/2026-09-denisovan-forearm-bone-southwest-china.html
おもせかの一言
6万点の骨の山から、一本の腕へ。古代タンパク質は、消えた人類の名札として残っていました。