約1,000片を曲面へ。ポンペイの“天井画パズル”が4分の1まで戻った
床に散らばった約1,000片の破片を拾い、元の場所へ戻す。ただし完成図はなく、置き場所は平らな机ではなく丸い天井です。イタリアの古代都市ポンペイで、気が遠くなるような“天井画パズル”の復元が進んでいます。
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対象は、パン工房を併設した邸宅の上階にあった宴会室の天井画。2023年以降の発掘で、崩れた漆喰の破片が数百点ずつ見つかりました。これまでに約1,000片を使い、全体の4分の1以上が組み上がっています。
平らなパネルでは、元の絵にならない
難しいのは、破片同士をつなぐだけではありません。天井はもともとアーチ状の丸天井でした。平面パネルに貼れば絵柄は見えても、本来の位置関係や見え方が変わってしまいます。
そこで修復チームは、作業を進めながら元のカーブを推定し、曲面の支持体を設計しました。しかも一度完成させて終わりではなく、後から見つかった破片を追加できるモジュール式。研究が進み、復元案が変わったときにも更新できる構造です。
発掘品の展示は「固定して完成」に見えますが、今回は未完成であることを前提にした展示です。わからない部分を無理に埋めず、次の発見を受け入れる余白まで設計されています。
描かれていたのは、酒の神の結婚
絵の中心テーマは、ワインと祝祭の神ディオニュソスと、クレタ島の王女アリアドネの物語だと考えられています。宴会室の天井に、神話の華やかな結婚場面が広がっていたわけです。
ポンペイでは壁画が数多く残っていますが、天井画の発見例は約20件と珍しいとされています。木や葦を下地にして漆喰を塗った天井は、噴火後に有機物が失われ、壁より残りにくかったためです。
一方、同じ建物の地上階には、奴隷にされた人々がロバとともに穀物をひいていたとみられる狭く暗い作業場がありました。上階の華やかな宴会と、下階の過酷な労働。同じ家の中にあった二つの暮らしも、遺跡は伝えています。
世間の反応
海外では、復元の規模を「世界で最も難しいジグソーパズル」と驚く声が目立ちました。同時に、絵の美しさだけでなく、曲面を再現しながら将来の研究にも対応する支持体そのものを評価する声も上がっています。
出典
- Pompeii Archaeological Park: https://pompeiisites.org/e-journal-degli-scavi-di-pompei/la-ierogamia-di-dioniso-e-arianna-dallo-scavo-allesposizione/
- Smithsonian Magazine: https://www.smithsonianmag.com/smart-news/see-a-rare-ceiling-fresco-from-pompeii-that-archaeologists-are-carefully-reassembling-piece-by-piece-like-an-ancient-puzzle-180989209/
おもせかの一言
完成図なし、足りないピース多数、台紙まで自作。古代ローマから届いたパズルは、難易度設定が容赦ありません。