“アメリカチーター”はピューマの親戚。北極圏ではほぼ魚を食べていた

“アメリカチーター”はピューマの親戚。北極圏ではほぼ魚を食べていた
Illustration: Julius Csotonyi

氷河期の北米を走っていた細身の大型ネコ「Miracinonyx trumani」は、長い脚と大きな鼻孔から“アメリカチーター”と呼ばれてきました。ところが古代DNAと骨の同位体分析は、見た目よりずっと意外な暮らしを示しました。

系統的には現生チーターよりピューマに近く、カナダ・ユーコン準州の個体は、陸の草食動物ではなくほぼ魚を食べていた可能性が高いというのです。

ベーリンジアで魚を捕る個体と北米南部で陸上獲物を狙う個体の復元画
Illustration: Julius Csotonyi

DNAが“似た姿”と親戚関係を分けた

研究チームはワイオミング州の1標本とユーコン準州の3標本から、これまでで最も完全な古代DNAデータを取得しました。9種のネコ科と比べると、現生チーターとの共通祖先は約470万年前、ピューマとの共通祖先から分かれたのは約260万年前と推定されました。

ユーコンの標本は別種とみられていましたが、同じM. trumaniと判定され、既知の分布は北へ約2,250キロ広がりました。速く走るために似た姿へ進化しても、近い親戚とは限らない好例です。

北と南でメニューがまるで違う

骨に含まれる炭素と窒素の比率から、ユーコンの3個体は魚を専門に食べるシャチや沿岸のオオカミに近い信号を示しました。一方、ワイオミングの個体は草食獣を食べる陸上捕食者型でした。

ただし同位体から分かるのは食物網上の位置で、魚種や捕まえ方を直接見たわけではありません。古代DNAが残った標本も4点に限られます。「北極の全個体が漁師だった」とまでは断定できません。

世間の反応

呼び名と体形が先入観を作っていたことが見直されました。速さだけでなく、亜熱帯から北極圏まで食物を変えて生きた柔軟な捕食者として捉える研究です。

おもせかの一言

チーター風の見た目、ピューマ寄りのDNA、北では魚メニュー。肩書きが一つも本体を言い切れていません。

出典