ドードーは“おバカ”ではなく夜型だった? CTで見えた意外な脳
絶滅したドードーには「鈍くて間抜けな鳥」という不名誉なイメージがあります。しかし博物館に残る頭骨をCTで調べると、考える部分の脳は体の大きさに見合っており、近縁のハトより劣る証拠はありませんでした。さらに、世界で唯一の夜行性のハトだった可能性まで浮かんでいます。

研究チームは、世界の博物館にあるドードー3個体と、さまざまなハト類の頭骨をCT撮影しました。ドードーに最も近い絶滅種、ロドリゲスドードーの仲間であるソリテアーも比較対象です。頭骨内側の空間から、脳の形と感覚器の大きさをデジタル復元しました。
大きな体に、きちんと見合う脳
ドードーは奇妙に丸い頭を持ちますが、認知に関係する前脳部分は、その体格から予想される大きさでした。研究者は、ドードーが近縁のハトより知能が低かったことを示す解剖学的証拠はないと結論づけています。
人を恐れず近づいた行動が、「愚か」という評判の原因になった可能性があります。モーリシャス島にはもともと大型の陸上捕食者がほぼおらず、警戒行動を学ぶ進化的な必要が乏しかったのです。好奇心や仲間への接近は、捕食者のいない社会では不利ではありませんでした。
ところが人間と持ち込まれた動物が現れると、その素直さが致命的になりました。危険を知らなかったことと、知能が低いことは別の話です。
ぼんやりした視界で、薄暗い時間を歩いた?
頭骨には別の特徴もありました。目はわずかに大きい一方、視覚情報を処理する視葉は異例に小さく、夜行性のカカポやオーストラリア・ナイトパロットに似た傾向を示しました。少ない光を感じやすい代わりに、像は粗く「ピクセル化」したような視界だった可能性があります。
嗅覚に関係する領域は大きく見え、匂いに頼った可能性もありますが、比較データが足りず確定できません。研究チームは、ドードーが夜または明け方・夕方に活動し、昼行性の大型リクガメとの食物競争を避けていたのではないかと考えています。
行動を直接観察できない絶滅動物だけに、夜行性は頭骨から導いた仮説です。今後、ほかの標本や近縁種との比較が増えれば、活動時間や感覚の使い方をより確かにできそうです。
世間の反応
ドードーの名は「時代遅れ」「愚か」の比喩にまでなっています。今回の研究は、恐れを知らない島の動物を人間側の基準で評価してきたことへの修正です。ただし脳の大きさだけで具体的な知能テストの成績まで推定できるわけではありません。
出典
- Phys.org: https://phys.org/news/2026-08-dodo-birds-clever-thought.html
- Zoological Journal of the Linnean Society: https://doi.org/10.1093/zoolinnean/zlag123
おもせかの一言
ドードーが間抜けだったのではなく、人間という新ルールを知らなかった。しかも昼より夜に強い、意外と渋い生活者だったのかもしれません。