メキシコで「古代アホロートル」新種化石、かわいい生き物の歴史はもっと古かった

メキシコで「古代アホロートル」新種化石、かわいい生き物の歴史はもっと古かった
Image: WIRED

「昔のアホロートル」が新種として報告された

アホロートルといえば、外えらをふわふわさせた見た目で人気の高い両生類です。その仲間の歴史をぐっと古く見せてくれる化石が、メキシコで新種として報告されました。

メキシコで報告されたアホロートルの仲間に関する画像
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WIREDによると、新種はAmbystoma quetzalcoatli。メキシコ国立自治大学UNAMの研究者らが、イダルゴ州アトトニルコ・エル・グランデで見つかっていた化石を詳しく調べ、現生種とは異なる特徴を持つ新しい化石種として整理しました。

この地域は、かつて広い淡水湖のシステムだったと考えられています。現在のかわいいアホロートルを見ているだけでは想像しにくいですが、その背後には、湖とともに続いてきた長い進化の歴史があります。

化石は昔からあったが、研究はこれからだった

化石は2000年代初めに採集されていたものです。植物、貝、甲虫、魚などが見つかる古い湖の堆積物から、保存状態のよいサンショウウオ類の骨格が出ていました。

研究チームは、CTスキャンや現生のAmbystoma属との比較を使って、骨の形を詳しく調べました。その結果、頭骨の開口部や口蓋の構造、椎骨の数などに違いがあることが分かりました。特に、胴の椎骨が17個ある点は、現代のアホロートル類と比べて重要な特徴とされています。

新種名のquetzalcoatliは、メキシコ文化と深く関わる神格ケツァルコアトルを思わせます。名前だけでも、かなり強い存在感があります。

大人になっても子どもの姿を残す

アホロートルの有名な特徴に、ネオテニーがあります。これは、成体になっても幼生のような特徴を残す性質です。現生アホロートルは、外えらを持った水中生活の姿のまま成熟します。

WIREDの記事によると、今回の化石にもネオテニーを示す特徴が見られるとされています。つまり、この独特な生活スタイルは、メキシコの古い湖環境の中ですでに成立していた可能性があります。

湖の環境が安定していると、陸へ上がるための完全な変態をしなくても生きていける場合があります。アホロートルの「ずっと水の中で若い姿のまま」という特徴は、かわいさだけでなく、環境に合わせた進化の結果でもあるのです。

消えた湖が、今の生物多様性をつくった

今回の発見が面白いのは、現代のメキシコの生物多様性が、すでに消えてしまった古い湖の環境とつながっていることです。湖があり、そこに独自のサンショウウオ類が暮らし、時間をかけて分化していった。その一部が、現在のアホロートル類の背景にあります。

現生のメキシコサンショウウオは、環境悪化や外来魚、都市化などで厳しい状況にあります。化石のニュースは遠い過去の話のようですが、実は「この土地にどれほど長く独自の生き物がいたのか」を思い出させるものでもあります。

世間の反応

アホロートルは、すでにSNSや水族館で人気の高い生き物です。そのため、化石新種のニュースも「古代のアホロートル」という分かりやすい言葉で広がりやすくなっています。

一方で、研究としては見た目のかわいさだけでなく、骨格比較やCTスキャン、湖沼環境の復元が重要です。人気者の背後に、かなり地味で丁寧な古生物学があります。

おもせかの一言

アホロートルは今でも十分ふしぎなのに、化石になるとさらに物語が深くなります。かわいい顔の奥に、数百万年分の湖の記憶があると思うと、急に見え方が変わりますね。

出典

  • WIRED: https://www.wired.com/story/scientists-have-identified-a-new-fossil-species-of-axolotl-in-mexico
  • Palaeontologia Electronica: https://palaeo-electronica.org/