深海の「ミツクリザメ」、自然の海で泳ぐ姿が初めて映像に
深海で、あの不思議なサメが泳いでいた
長く突き出た鼻と、獲物をとらえるときに前へ飛び出すあご。図鑑で一度見ると忘れにくい深海ザメ、ミツクリザメの姿が、自然の海の中で初めて映像として記録されたと海外メディアが報じています。

撮影されたのは南太平洋のトンガ海溝付近。研究チームが2024年の調査で設置した深海カメラに、約20秒ほどミツクリザメが映り込んでいました。水深はおよそ1,997メートル。地上でいえば、かなり高い山を逆さに沈めたような深さです。
これまで「生きた姿」はほとんど謎だった
ミツクリザメは1898年に日本近海で記録されたことで知られる、かなり古い系統のサメです。約1億2500万年前から続く仲間の生き残りとも説明されることがあり、「生きた化石」と呼ばれることもあります。
ただし、有名なわりに生活ぶりはよく分かっていません。深い海にすむため人間が観察しにくく、これまで見つかる個体の多くは漁具にかかったものや、海面近くへ引き上げられたものでした。つまり、図鑑に載る不思議な顔は知られていても、ふだんの海でどう泳いでいるのかはほとんど見えていなかったのです。
20秒の映像が大きな手がかりに
今回の発見が面白いのは、映像そのものが短くても、場所と深さの情報がはっきりしていることです。トンガ海溝での記録に加え、2019年に中部太平洋のジャービス島付近で撮られていた映像も、あらためてミツクリザメと確認されました。
この2つの記録は離れた海域で見つかっており、ミツクリザメが中央太平洋にも広く分布している可能性を示しています。深海の生き物は、そもそも出会うまでが大仕事。50日以上の連続撮影の中で、たった数十秒だけ現れたという点にも、深海調査らしいロマンがあります。
日本名にもつながる、独特すぎる顔
英語名は「goblin shark」ですが、日本では「ミツクリザメ」と呼ばれます。学名の由来には、標本を研究につないだ日本の動物学者、箕作佳吉らの名前が関わっています。
見た目で特に目立つのは、平たく長い鼻と、前へ突き出せるあごです。ふだんはあごが頭の下に収まっているため、標本写真で見るほど常に口が飛び出しているわけではないそうです。深海でゆっくり漂いながら、鼻先の感覚器官で獲物の気配を探していると考えられています。
まだ知らない海が広すぎる
今回のニュースは、怖い見た目の珍生物を見つけた、というだけでは終わりません。深海には、名前だけ知られていても暮らし方がよく分からない生き物がまだ多くいます。
たった20秒の映像でも、どの深さにいて、どの海域まで広がっているのかを考える材料になります。ミツクリザメの不思議な顔はインパクト抜群ですが、その奥には「海はまだ全然見終わっていない」という、もっと大きな面白さがあります。
世間の反応
海外では、まず見た目のインパクトに驚く反応が目立っています。「映画に出てきそう」「名前も顔も強い」といった受け止め方がある一方で、実際の映像を見ると、思ったより静かに泳いでいることに驚く人も少なくありません。
研究者側の反応としては、見た目の珍しさ以上に、自然環境で生きた姿を記録できたことの価値が大きく語られています。深海生物は、知られている名前と、実際の暮らしぶりのあいだにまだ大きな空白があるのだと分かるニュースです。
出典
- The Guardian: https://www.theguardian.com/environment/2026/jun/12/goblin-shark-seen-alive-natural-habitat-first-time
- Digital Camera World: https://www.digitalcameraworld.com/photography/nature-and-wildlife-photography/first-ever-camera-footage-of-worlds-ugliest-shark-in-its-natural-habitat-captured-by-researchers
- Live Science: https://www.livescience.com/animals/sharks/i-never-thought-wed-see-one-alive-elusive-goblin-shark-captured-on-camera-for-the-first-time
おもせかの一言
ミツクリザメ、名前も顔もかなり強いのに、本人はただ深海でゆっくり暮らしていただけなのがいいですね。こっちが勝手にびっくりしているだけで、向こうからすると「いや、いつも通りですけど」という話なのかもしれません。