「誰も信じなかった」リビアの砂ネコ、18秒のYouTube動画が実在を証明
18秒の動画が、研究の入口になった
リビアの野生動物写真家Mohammed Almuntasirが2017年にYouTubeへ投稿した18秒の動画が、思わぬ科学的証拠になりました。映っていたのは、砂漠にすむ小さなネコ科動物、砂ネコです。

当時、この動画がリビアで撮られたものだと信じる人は多くありませんでした。けれど、この短い映像は、リビアに砂ネコが存在することを示す初の物的証拠になったと報じられています。
砂ネコは、真の砂漠環境に適応した唯一のネコ科とされます。体は家ネコほどの大きさで、砂色の毛は周囲に溶け込みます。そのため「砂漠の幽霊」と呼ばれるほど見つけにくい動物です。
リビア南西部は、ほとんど調べられていなかった
Guardianによると、リビア南西部は北アフリカでも調査が進んでいない陸上環境のひとつです。保護区、カメラトラップ網、専門の調査体制がほとんどなく、さらに密輸網が活動する地域もあり、現地調査には危険も伴います。
それでもAlmuntasirは、地元のトゥアレグの人々や狩猟者から情報を集め、GPS座標や写真、動画を記録していきました。研究者Firas Hayderとの共同作業は8年にわたり、最終的には2026年の論文で、リビア・サハラの13地点に砂ネコがいることが報告されました。
特に注目されたのは、トリポリの南西約1,000kmにあるWadi Armetです。36件の砂ネコ目撃のうち15件がこの地域に集中しており、南西リビアが砂漠適応種の重要な避難地である可能性が出てきました。
かわいいだけでは終わらない
砂ネコは小さく、写真ではかなり愛らしく見えます。ただ、今回の話は「かわいいネコが見つかった」だけではありません。砂ネコはネズミ、トビネズミ、毒ヘビ、サソリなどを食べるため、砂漠の生態系のバランスにも関わっています。
一方で、ペットとして売られる例や、狩猟中に誤って殺される例も記録されています。存在が確認されたことは喜ばしい一方で、知られたことで新たな圧力がかかる可能性もあります。
世間の反応
このニュースの強さは、「YouTubeに上がっていた短い動画が、後に科学的証拠になる」という意外性です。SNS時代らしい偶然と、地道なフィールドワークがつながっています。
また、リビアのように研究体制が整いにくい地域では、地元の観察者や写真家が科学の入口になることがあります。専門家だけでは届かない場所に、現地の目がある。その意味でも印象的なニュースです。
出典
- The Guardian: https://www.theguardian.com/environment/2026/jun/24/youtube-video-proved-libya-sand-cat-exist-aoe
- YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=eWLD9g73HLk
おもせかの一言
18秒の動画が、8年分の研究の扉を開く。こういう話、インターネットのいちばんいい使われ方という感じがします。何気なく投稿された映像が、あとから「それ、歴史的証拠です」と言われる世界、けっこう夢があります。