土と水を泳ぐ磁気ロボット、マイクロプラスチックを最大94%回収

土と水を泳ぐ磁気ロボット、マイクロプラスチックを最大94%回収
Image: npg Asia Materials (2026)

磁石で動く微小ロボットの群れを汚れた水や土へ放ち、プラスチックを吸着させ、最後は磁石でまとめて回収する。チェコの研究チームが、マイクロプラスチックを追いかける小さな清掃部隊を開発しました。実験室では、水中の粒子を最大約94%取り除いています。

磁気マイクロロボットによるマイクロプラスチック回収の模式図
Image: npg Asia Materials (2026)

マイクロプラスチックは直径5ミリ未満のプラスチック粒子です。水からろ過する方法はありますが、土では鉱物や有機物の隙間に入り込み、簡単には引き離せません。細かく掘り返して洗えば、土壌そのものを壊すおそれもあります。

回転しながら、土の隙間へ入る

研究者が土台に使ったのは、MXeneと呼ばれる薄い層状材料です。表面積が大きく、化学的な性質によってプラスチックを引きつけます。そこへ磁性を持つニッケルのナノ粒子をコーティングしました。

外部から回転磁場をかけると、粒子は回転したり転がったりしながら水中を進みます。湿った土では、水で満たされた微細な隙間を移動し、閉じ込められたプラスチックへ衝突。粘着性のある表面に粒子を付着させます。

清掃後は磁石を近づけ、ロボットとプラスチックを一緒に引き上げます。同じ材料を動かさず、受動的に吸着させるだけの方法より高い回収率を示しました。

PETもポリスチレンも回収、ただし実験室内

約1時間の試験で、水中ではポリスチレンの約94%、PETの約89%を除去。モデル土壌では、それぞれ約81%と72%でした。水より複雑な土の中でも、動くことが回収に役立った形です。

一方で、結果は条件を整えた実験室でのものです。実際の川や農地には粘土、微生物、根、さまざまな形のプラスチックが混在します。同じ効率を維持できるかは野外試験が必要です。

ロボット自体を残さず回収できるかも重要です。ニッケルなどの金属イオンが溶け出す危険や、回収し損ねた微粒子が新たな汚染源になる可能性を評価しなければなりません。掃除する道具が次のごみになっては意味がないからです。

世間の反応

「ロボットの群れ」と聞くと自律型の機械を想像しますが、今回は外部磁場で動く機能性粒子に近い存在です。最大94%という数字も、特定の水中試験での結果。実用化の鍵は、回収率だけでなく安全に全量回収できるかです。

おもせかの一言

目に見えないごみには、目に見えない掃除係。ただし清掃終了後の点呼が、このロボット軍団には何より大切です。

出典