ボトルの“ブーン”で飛ぶ150マイクログラムのロボット。モーター不要

ボトルの“ブーン”で飛ぶ150マイクログラムのロボット。モーター不要
Image: 2026 EPFL/MICROBS, CC BY-SA 4.0

空き瓶の口へ息を吹きかけると「ブーン」と鳴ります。そのおなじみの現象で、船を進ませ、重さわずか150マイクログラムのロボットを飛ばすことに、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームが成功しました。

モーターも歯車も磁石も使いません。必要なのは、内部が空洞になった小さな構造と、外から届く特定の周波数の音です。

EPFLが開発した音で動く微小飛行ロボット
Image: 2026 EPFL/MICROBS, CC BY-SA 4.0

音を細い空気のジェットへ

瓶のような空洞では、開口部と内部の空気がばねのように振動します。これがヘルムホルツ共鳴です。研究チームは丸形やベル形の空洞を作り、共鳴した空気が出るときは集中したジェットに、入るときは拡散するよう設計しました。

出入りの非対称性が一方向の力になります。センチメートル大のボートには、異なる可聴周波数へ調整した空洞を最大3個搭載。スピーカーの周波数を切り替えるだけで、前進や旋回に使う空洞を選び、障害物を避ける自律航行も実演しました。

超音波で1万3,000回転

3Dナノプリントで作った微小飛行ロボットは、人に聞こえない超音波で動きます。150マイクログラムの型はロケットのように上向きの推力を発生。別の型は小さな羽根を毎分最大1万3,000回転させ、ヘリコプターのような安定した揚力を得ました。

材料には一般的な3Dプリント樹脂、ゴム状ポリマー、ガラスなどを使えます。さらに小型化し、一つの柔らかな装置へ複数の共鳴器を組み込めば、周波数に応じて一部だけが曲がる「音に反応するロボット材料」も構想できます。

ただし試作品は、外部のスピーカーや超音波源が作る音場の中で動きます。どこでも単独で飛べるドローンではなく、音の届く範囲、効率、積載量、制御精度などの実用課題が残ります。

世間の反応

音で物を押す技術自体はありますが、今回は機体の空洞が特定周波数を選び、自ら推力へ変える点が新鮮です。部品を増やさず、形そのものへ動作を埋め込む発想です。

おもせかの一言

未来の超小型ドローンは、充電音ではなく“飛ぶための音”を聞くのかもしれません。空き瓶のブーン、実は立派なエンジン候補でした。

出典