反応中だけ現れる“ニッケル5原子の島”。金属を10分の1以下にしてメタンを変換

反応中だけ現れる“ニッケル5原子の島”。金属を10分の1以下にしてメタンを変換
Image: Dalian Institute of Chemical Physics, Chinese Academy of Sciences

メタンを一酸化炭素と水素の「合成ガス」へ変える反応では、金属ニッケルの粒子が主役だと長く考えられてきました。ところが中国科学院大連化学物理研究所などのチームは、反応中に酸化ニッケル表面へ一時的に組み上がる小さな原子構造こそが活性中心だと報告しました。

この構造を生かす触媒は、ニッケル含有量0.8重量%でも、従来必要とされた約10%級の触媒に匹敵する性能を示しました。

酸化ニッケル表面に反応中形成される活性構造の模型と顕微鏡像
Image: DICP, Chinese Academy of Sciences

金属粒子は反応中に酸化していた

チームは反応を止めて試料を見るのではなく、稼働中のX線分光と環境電子顕微鏡で触媒を追跡しました。出発時の金属ニッケル粒子はすぐ酸化ニッケルになり、その表面に一つのニッケル原子と周囲の四つのニッケル原子が酸素を介して並ぶ構造が現れました。

計算では、メタンの強い炭素―水素結合を切る障壁が12.5キロカロリー毎モル。平らな酸化ニッケル表面の38.5、金属ニッケル表面の15.7より低い値でした。

低ニッケルでも変換率92%

650度の実験で、0.8重量%の触媒はメタン変換率92%、一酸化炭素・水素への選択率87%を達成しました。ただし研究室条件の触媒性能であり、工場規模での寿命、コスト、不純物への耐性を保証したものではありません。

活性構造も反応中に動的に形成されるため、模型どおり一種類だけが全反応を担うかはさらに検証が必要です。それでも「後で見ると消えている構造」を稼働中に観察する重要性を示しました。

世間の反応

材料名が同じでも、反応中の原子配置で働きは変わります。触媒を節約する鍵が、量を増やすのでなく一瞬だけできる並び方にあった点が注目されます。

おもせかの一言

主役は最初から置かれていませんでした。反応が始まると舞台上で組み上がる、ニッケル原子の即席チームです。

出典