ジャングルに“虫の監視カメラ”19台。3晩で6万件を記録した

ジャングルに“虫の監視カメラ”19台。3晩で6万件を記録した
Image: Joe See

野生動物を自動撮影するトレイルカメラの、虫版が登場しました。名前は「Mothbox」。光で昆虫を呼び、写真を撮り、コンピュータービジョンで整理します。パナマの山に19台を並べたところ、3晩で6万件を超える出現記録が集まりました。

パナマのセロ・オヤに設置されたMothbox
Image: Joe See

調査地は、パナマのアスエロ半島にあるセロ・オヤ国立公園。雲霧林が残る一方、周辺は牧草地に囲まれ、研究者が簡単には入れない場所です。チームは標高差100メートルごとを目安に、山の低い場所から雲の中まで装置を設置しました。

光って撮る。仕分けは「Mothbot」

Mothboxは夜になると光で昆虫を呼び寄せ、殺さずに撮影します。大量の画像は、専用システム「Mothbot」が昆虫を検出し、時刻とともに整理。人が一晩中シーツの前に立ち、翌日から何か月も標本を仕分ける方法に比べ、同じ時刻に広い範囲を観測しやすくなります。

装置と処理システムは、広く使えるようオープンソースとして開発されています。論文では、自動化したライトトラップと機械学習を組み合わせ、非致死的で大規模な昆虫モニタリングを目指す仕組みとして報告されました。

3晩で得られた検出は6万件超。全体として夜の早い時間に活動が多かったものの、その変化は昆虫の種類や標高で異なりました。高地のガは夜の前半に山があり、低地では比較的安定。甲虫では逆の傾向が見られました。目の前のシーツは高地の虫でにぎわっていたのに、データ上の多様性は低地の方が高かったのも意外な結果です。

帰り道では“正体不明”の巨大幼虫

装置とは別に、チームは下山中、木の上で巨大なイモムシを発見しました。研究者たちは、現生昆虫で最大級の翅幅を持つ「ホワイトウィッチ」というガの幼虫ではないかと予想。スミソニアンの飼育容器で数か月待つと、実際にホワイトウィッチが羽化しました。

成虫は300年以上前から知られていた一方、幼虫の姿は確実に確認できていなかったといいます。自動装置で6万件、最後は人の目で1匹。新しい技術と昔ながらの観察が、同じ遠征でそれぞれ成果を持ち帰りました。

世間の反応

研究紹介には、「虫版トレイルカメラが欲しかった」「採集せずに調べられるのがよい」と期待する声が上がっています。膨大な写真をどう正確に分類するか、誤判定を専門家がどう確認するかにも関心が集まりました。

おもせかの一言

ジャングルの夜勤を19台に任せたら、朝には6万件の未読通知。虫の世界は想像以上に忙しいようです。

出典