2,000人が化石を少しずつ削る。ポーランドで進む6メートル巨大両生類の復元

2,000人が化石を少しずつ削る。ポーランドで進む6メートル巨大両生類の復元
AP Photo/Claudia Ciobanu

2億4,000万年も岩の中にいた化石を、専門家ではない一般の人が初めて外気に触れさせる。ポーランド・ワルシャワで、少し緊張する市民参加型の科学プロジェクトが進んでいます。

巨大両生類マストドンサウルスの化石を整える作業
AP Photo/Claudia Ciobanu

コペルニクス科学センターでは、巨大両生類マストドンサウルスの骨格を岩から取り出す作業に、2,000人以上のボランティアが参加。ガラス張りの作業室の外からは、来館者もその様子を見学できます。

6メートル、1.3トンの岩塊が科学館へ

化石は2023年、ポーランド南部シレジア地方のミエンダリで見つかりました。骨格は全長6メートル近くに達するとみられ、周囲の岩を含む塊の重さは約1,300キロ。科学館への搬入にはクレーンが必要でした。

マストドンサウルスは約2億4,000万年前、中生代三畳紀に生きた大型の両生類です。平たく大きな頭、長いあご、円すい形の歯を持ち、水中で魚や小型の両生類を待ち伏せしていたと考えられています。

見た目はワニに似ていますが、恐竜でも爬虫類でもありません。現在のカエルやサンショウウオにつながる両生類の遠い親戚です。

参加者は2時間、ミリ単位で岩を削る

作業に参加しているのは、会社員、清掃員、タトゥーアーティストなど、職業も年齢もさまざまです。事前に訓練を受け、防護具を着け、専門家の監督下で空気圧式の細い工具を使います。

骨と周囲の岩の境界は紫外線でも確認し、ミリ単位で慎重に進めます。粉じんや工具の振動があるため、1回の作業はおよそ2時間。速さを競うプロジェクトではなく、大人数が少しずつ時間を渡していく作業です。

科学センターの年次報告によると、募集開始直後から想定を超える応募が集まり、2025年末までだけでも1,436件に達しました。パリやノルウェー、オランダからの応募もあったといいます。

完成品だけでなく、科学の途中を見せる

博物館で見る化石は、きれいに組み上がった完成品がほとんどです。そのため、発掘後に岩を取り除き、骨を確認し、記録する長い工程は見えにくくなります。

今回の作業室は展示フロアに設けられ、来館者は研究の途中をガラス越しに見られます。ボランティアは単なる体験イベントの参加者ではなく、将来の研究対象を準備する一員です。市民科学がデータ入力や生き物の観察だけではないことを示しています。

世界最大級だからこそ、結論はこれから

研究者によると、これまでドイツやロシアなどで見つかった同種の骨格は2〜3メートルほどで、今回の個体は突出して大きいとされています。体の構造にも、従来の理解と異なる部分が見えてきました。

ただし、岩から骨を出すことは研究の出発点です。復元後に詳しい測定や比較を行って初めて、同じ種類の巨大個体なのか、成長や分類を見直す必要があるのかが分かります。

世間の反応

参加者からは、長いあいだ地下にあった骨へ最初に触れる不思議さや、細かな作業に集中する心地よさを語る声が出ています。見学する子どもにとっても、科学者だけが研究室の奥で行うものではなく、自分たちも関われる仕事として映っています。

おもせかの一言

2,000人で6メートルの化石を発掘。巨大な両生類をよみがえらせているのは、巨大な機械より、たくさんの人の2時間ずつでした。

出典

  • AP News: https://apnews.com/article/poland-geology-discovery-skeleton-prehistory-volunteers-science-5dad81ded2bf58e4f6aac088c59e96d0
  • Copernicus Science Centre Annual Report 2025: https://www.kopernik.org.pl/sites/default/files/2026-05/RAPORT_2025_EN_maly.pdf