大脳皮質の0.2%が眠りを促す。遠くへ信号を送る希少ニューロンを特定

大脳皮質の0.2%が眠りを促す。遠くへ信号を送る希少ニューロンを特定
Image: Charlie Padgett / Mount Sinai Health System

眠りは脳の奥にある中枢がスイッチを入れ、大脳皮質はそれに従う――約1世紀続いたこの見方に、新しい回路が加わりました。皮質にごく少数だけ存在する「Sst-Chodlニューロン」が、広い領域の活動をそろえて睡眠を促すことがマウス実験で示されました。

この細胞は皮質ニューロンの約0.2%。数は少なくても、近所だけでなく遠くまで信号を送る珍しい抑制性ニューロンです。

大脳皮質の遠隔領域をつなぎ睡眠を促す希少ニューロンの模式図
Image: Charlie Padgett / Mount Sinai Health System

眠くなると活動し、起こすと眠る

マウスが覚醒している間、このニューロンはほぼ静かでした。しかし眠気が強まり、深いノンレム睡眠へ入ると活動し、皮質全体がゆっくり同期する睡眠特有のリズムと重なりました。

さらに研究者がSst-Chodlニューロンを人為的に活性化すると、皮質の電気信号が遅く同期し、マウスは早く眠り、睡眠時間も増えました。単に睡眠に反応するだけでなく、眠りへの移行を後押しできると考えられます。

人間への応用はまだ先

同系統の細胞は両生類や爬虫類から人間まで保存されているとされ、睡眠が脳深部と皮質の共同作業で生まれる可能性が浮かびます。睡眠障害や神経疾患を調べる新しい標的にもなりえます。

ただし機能を直接確かめたのはマウスです。人間でも同じ細胞が睡眠を制御するか、睡眠圧を検知するか、治療に使えるかは未確認であり、研究チーム自身も今後の仮説としています。

世間の反応

わずか0.2%の細胞が、離れた皮質をまとめて静かなリズムへ導くのが印象的です。脳は中央の一つのスイッチではなく、複数の場所が協力して眠るのかもしれません。

おもせかの一言

眠りの指揮者は脳の奥だけではありませんでした。客席に見えた皮質にも、小さな指揮棒が隠れていました。

出典