卵の中のヘビは、ほぼ全員「右巻き」。腸が短いから体がねじれていた

卵の中のヘビは、ほぼ全員「右巻き」。腸が短いから体がねじれていた
Photo: Raul Diaz / California State University Los Angeles

生まれる前のヘビは、卵の中で小さな渦巻きになります。しかも初期の胚は、ほとんどが同じ右巻き。なぜ長い体が自然に丸まるだけでなく、向きまでそろうのでしょうか。

国際研究チームが800点を超える胚の画像とCTスキャンを調べたところ、急成長する背骨と、それほど速く伸びない腸の“長さ競争”が原因らしいことが分かりました。

右巻きに丸まったケープハウススネークの胚
Photo: Raul Diaz / California State University Los Angeles

長い体を、短い腸がつなぎ止める

CT画像で見つかったのは、らせんの中央を柱のように通る腸でした。ヘビの背骨は多数の椎骨を作りながら急速に長くなりますが、消化管の成長は追いつきません。

短い腸が内側で“つなぎひも”の役割を果たすため、伸び続ける体はまっすぐになれず、座屈するように曲がってらせんを作るという説明です。狭い卵へ長い体を収める、発生上の折り畳み機構ともいえます。

卵黄が左にあるから右へ巻く

巻く向きを決める鍵は卵黄です。初期の卵黄は胚の左側に位置するため、伸びる体はそれを避ける方向へ押され、上から見て時計回りの右巻きになりやすいと研究チームは考えています。

筋肉が発達し、腸も長くなって胚が自力で動けるようになると、巻き方向は次第にばらつきます。つまり「右利きのヘビ」という性格ではなく、発生初期の物理的な配置が作る一時的な偏りです。

研究は形態観察と力学的な解釈に基づいており、すべてのヘビ種や個体が必ず同じ向きになると証明したわけではありません。それでも、複雑な体形が特別な“ねじれ遺伝子”ではなく、組織の成長速度の違いから生まれる可能性を示します。

世間の反応

ヘビの模様や毒には目が向きますが、そもそも長い体を卵の中でどう組み立てるかも難題です。発生中の物理的制約が、進化できる体形を支えている点が注目されます。

おもせかの一言

卵の中で背骨は先へ進み、腸が「ちょっと待って」と引っ張る。その綱引きが、完璧ならせんを作っていました。

出典