銀河観測の空き時間で“惑星の残骸”発見。白色矮星12個を分析
遠い銀河を観測して宇宙の膨張を調べる巨大装置が、条件の悪い夜には近所の「星の墓場」をのぞく。その空き時間から、かつて惑星だった岩石の成分が見つかりました。DESIのデータを使い、12個の白色矮星に降り注ぐ惑星残骸を詳しく調べた研究です。

DESIは米アリゾナ州キットピーク国立天文台の望遠鏡に取り付けられた分光装置で、一度に数千の天体から光を集められます。主目的は何千万もの銀河やクエーサーを地図化し、ダークエネルギーの性質を探ることです。
しかし薄雲や月明かりなどで遠い銀河の観測に向かない時もあります。研究チームは、そんな条件でも明るく見える白色矮星を予備ターゲットとして観測しました。主役の実験が休む時間を、別の宇宙科学へ回したわけです。
星の大気に残る「食べかす」
白色矮星は、太陽のような星が一生を終えた後に残す高密度の天体です。強い重力のため、通常なら大気中の重い元素はすぐ内部へ沈み、表面は水素やヘリウムが中心になります。
それなのに酸素、マグネシウム、ケイ素、カルシウム、鉄などが見えれば、比較的最近、周囲の小惑星や惑星の破片が落ちた可能性が高いと考えられます。恒星が老いる過程で軌道を乱された天体が、潮汐力で砕かれ、少しずつ白色矮星へ降り注ぐのです。
観測される白色矮星の20~50%には金属元素の痕跡があり、活動的に物質を取り込む天体も1,750個余り知られています。ただし、複数元素の量を詳しく比べられる高品質なスペクトルは、まだ数十例ほどに限られます。
乾いた岩石と、水を含んだ候補
今回の12天体では、それぞれ3~10種類の重元素が検出されました。うち6個は詳しい組成を調べられるほどデータが明瞭で、4個は地球型惑星に似た乾いた岩石、2個は水を多く含む微惑星を取り込んだ可能性のある酸素量を示しました。
この結果は、太陽系の岩石天体に似た組成が、ほかの惑星系でも珍しくない可能性を支えます。また水を含んだ小天体が確認されれば、惑星へ水が運ばれる仕組みを考える材料にもなります。
ただし対象は12個で、水の解釈にも他の酸素源を除く分析が必要です。論文はプレプリント段階で、今後の査読や追加観測によって結論が調整される可能性があります。それでも、本来の目的とは違う観測時間から惑星の地質学が生まれた点は見事です。
世間の反応
「崩壊した惑星」と聞くと一瞬の大爆発を想像しますが、実際には軌道を乱された小天体が砕け、長い時間をかけて星へ落ちる現象です。そのわずかな元素の線を読むことで、直接は見えない惑星の材料を調べられます。
おもせかの一言
宇宙観測に「悪い夜」はありません。遠くが見えないなら近くの星を見て、飲み込まれた惑星の献立まで当ててしまいます。