初期ヘビは地中・地上・海へ。8,000万年前の脳が壊した“一本道”

初期ヘビは地中・地上・海へ。8,000万年前の脳が壊した“一本道”
Illustration: Gabriel Ugueto

ヘビは、穴を掘るトカゲが脚を失って生まれたのか。それとも海を泳ぐ爬虫類が細長くなったのか。長く続く二択の議論に、約8,000万年前の小さな頭骨が別の答えを持ってきました。初期のヘビは一つの環境だけでなく、地中、地上、海を早くから行き来していたようです。

地中生活をしていたとみられる初期ヘビTametara mirimの復元図
Illustration: Gabriel Ugueto

新種はブラジル南東部の後期白亜紀の地層から見つかった「Tametara mirim」。初期のヘビとしては世界でも保存状態がよい骨格の一つで、頭骨、脊椎、脳が収まっていた空間の細部まで残っていました。

骨の中に残った「脳の型」

脳そのものは化石になりにくいものの、頭骨の内側には脳や内耳、神経が入っていた空間があります。研究チームは高解像度CTで化石を傷つけずに読み取り、立体的なエンドキャストとして復元しました。

その形を現生ヘビや別の初期ヘビと比べると、Tametaraの脳は多くのヘビと異なる独特な形でした。大脳前部の形と骨の微細構造を別々に分析しても、地中を掘って暮らす生活への適応という同じ結論になりました。

一方、アルゼンチンで見つかっている初期ヘビ「Dinilysia patagonica」は、脳の形から地上生活への適応が示されました。海成堆積物から見つかる初期ヘビの証拠も合わせると、古い系統は地中だけ、あるいは海だけという一本道を歩んだわけではありません。

脚を失った「最初の場所」はまだ不明

今回の研究は、ヘビの祖先が最初にどこで細長い体になったかを一発で決めるものではありません。化石記録は依然として少なく、調べられた種は長い進化史の一部にすぎません。

重要なのは、最初期に近いヘビの脳と感覚器が、すでにかなり多様だったことです。ある環境から別の環境へ一方向に進んだという単純な物語より、複数の系統が異なる暮らしを試し、感覚の使い方まで変えていたと考えるほうが証拠に合います。

骨格だけで似た姿に見える動物も、脳の型を調べると見ていた世界が違う。CTは、化石の外見だけではわからない生態へ近づく道具になっています。

世間の反応

「ヘビは穴掘り出身か、水中出身か」というわかりやすい対立は魅力的ですが、進化は必ずしも一本線ではありません。今回の発見は決着というより、二択そのものを見直す材料。今後さらに初期化石が見つかれば、系統ごとの移動履歴が細かく描けそうです。

おもせかの一言

脚のない同じ姿でも、暮らしは一つではありませんでした。ヘビの進化、一本道どころか早くから“寄り道上手”です。

出典