頭は一つ、体の後ろは木の枝。博物館の標本から奇妙な海のワーム10新種

頭は一つ、体の後ろは木の枝。博物館の標本から奇妙な海のワーム10新種
Photo: Naoto Jimi

頭は一つなのに、体の後ろ側は木の根のように何度も枝分かれする。海綿の内部で暮らす「分岐ワーム」を国際研究チームが調べ直し、少なくとも10の新種候補と、新しい属「Cladosyllis」を報告しました。

これまで正式に知られていた分岐ワームはわずか3種。1914年に収集された海綿など、博物館で数十年以上保管されてきた標本が、最新のDNA解析と3D画像で突然“新種の宝箱”になりました。

沖縄の深海性ガラス海綿の内部に見える半透明の分岐ワーム
Photo: Naoto Jimi

海綿の迷路に合わせて体を伸ばす

一般的なワームとは違い、分岐ワームは一つの頭から複数の後端へ続く網状の体を持ちます。海綿の水路へ広がって暮らすための形と考えられ、深さ約1,000メートルのガラス海綿に住むものから浅瀬の海綿に住むものまでいました。

DNA、形態、宿主となる海綿を比較すると、13の異なる型が見つかり、そのうち少なくとも10が新種候補でした。分布はインド太平洋、紅海、ニュージーランドにまたがり、宿主の違いが種分化を促した可能性があります。

枝分かれは一度だけ進化したらしい

系統解析では、分岐ワームは一つの共通祖先から生じた独立したグループでした。つまり奇妙な体型は別々に何度も生まれたのではなく、一度進化した可能性が高いという結果です。一方、二つの主要系統では枝を作る発生方法が異なりました。

ただし「新種候補」は命名と分類の検証が必要で、すべての生活史も分かっていません。マイクロCTは海綿を壊さず内部を見られますが、行動そのものを観察したわけでもありません。

世間の反応

新種探しというと未踏の海へ潜る姿を想像しますが、今回は博物館の棚も探索地でした。古い収蔵品を残す価値が、100年以上後に別の技術で現れた例です。

おもせかの一言

家が迷路だから、住人も迷路になった。海綿の中には体の設計図まで枝分かれした動物がいました。

出典