深海で見つかった「帽子をかぶるカニ」、インド洋で未知の生物が約150種
深海から出てきた、帽子つきのカニ
インド洋の深海調査で、思わず二度見したくなる生き物が報じられています。注目を集めているのは、海綿やほかの海の生き物を背中にのせ、まるで帽子をかぶっているように見えるカニです。

Peopleによると、オーストラリア博物館、CSIRO、Museums Victoriaなどの研究者たちは、2021年と2022年の調査航海で1,000点以上の標本を集めました。調査地は、オーストラリアの北西約1,300マイルにあるキーリング諸島周辺の海山です。
その中で、約149種がこれまで人間に知られていなかった可能性があるといいます。深海のニュースでは「新種かも」という言葉をよく聞きますが、ひとつの調査でこれだけの数が出てくるのは、やはり海の底がまだまだ未知だということを感じさせます。
なぜカニは帽子をかぶるのか
このタイプのカニは、海綿などを背負うことで、周囲に紛れたり、身を守ったりしていると考えられています。人間から見るとファッションに見えますが、本人にとっては迷彩服や防具に近いのかもしれません。
深海では、暗さ、低温、高圧、少ない食料など、地上とはまったく違う条件があります。そこで生きる生物は、派手に泳ぎ回るよりも、隠れる、待つ、漂う、背負うといった戦略を発達させることがあります。
今回の調査では、スポンジカニのほかにも、丸みのあるヒトデや透明感のある多毛類の仲間などが報じられています。かわいい、変、きれい、気持ち悪い。そういう人間の感想を一気に超えてくるのが深海生物の面白さです。
海山は「飛び石」のような場所
調査対象になった海山は、海底から山のように盛り上がった地形です。海山の周辺には流れが生まれ、生き物が集まりやすくなることがあります。研究者は、こうした海山が深海生物にとって、離れた生息地をつなぐ「飛び石」のような役割を果たしている可能性にも注目しています。
つまり、ひとつの海山だけを見ても全体像は分かりません。複数の海山を調べることで、どの生物がどこまで広がっているのか、どの場所に固有の生き物がいるのかが見えてきます。
深海の生物多様性は、保護区の管理や資源開発の判断にも関わります。見た目は帽子カニの楽しいニュースですが、実際には「開発する前に、そこに何がいるのか知っているのか」という問いにもつながっています。
日本から見ると面白いポイント
日本も海に囲まれた国で、深海研究とは無縁ではありません。駿河湾や相模湾、南海トラフ周辺など、日本近海にも深い海があります。深海生物はテレビ番組や水族館でも人気ですが、実際の研究ではまだ分からないことが多く残っています。
今回のカニのように、ひとつの見た目の面白さが、深海保護や標本保存、研究航海の重要性へ話を広げてくれます。入口は「帽子みたい」で十分。その先に、知らない海の広さがあります。
世間の反応
海外では、やはり「帽子をかぶるカニ」という分かりやすいビジュアルに反応が集まっています。深海生物は名前や説明より先に、写真一枚で人を引きつける力があります。
一方で、研究者側のコメントでは、標本を博物館に保存する価値や、海洋保護区の管理に使える基礎データの重要性が強調されています。かわいいだけで終わらないところが、このニュースのいいところです。
出典
- People(2026年6月12日公開記事を参照)
おもせかの一言
カニが帽子をかぶっているように見えるだけで、深海への入口が急に開きます。本人はたぶんおしゃれのつもりではなく、生き残るために真剣なんでしょうけど、結果としてかなり似合っています。