深海の“透明な頭”をもつスプークフィッシュ、野生で初撮影される
深海で、透明な頭の魚が映った
大西洋の深海を調べていた研究チームが、透明な頭と筒状の目をもつスプークフィッシュの一種、Winteria telescopaを自然環境で初めて映像に収めました。

撮影されたのは、赤道付近の大西洋にあるDoldrums Megatransform and Fracture Zone。Schmidt Ocean Instituteの調査船R/V Falkor (too)とROV SuBastianによる探査中で、水深はおよそ710mでした。スプークフィッシュは、薄暗い深海で上から落ちてくるわずかな光や生物発光をとらえるため、特殊な目を発達させています。
今回の探査は、もともと海底の断裂帯や熱水活動を調べるためのものです。ところが、2つの新しい熱水噴出フィールドに加えて、生きたスプークフィッシュやbigfin squidまで観察されました。地図の空白を埋めに行ったら、生き物の空白まで見つかった、という感じです。
透明な頭は、ただ奇妙なだけではない
この魚の見た目でまず目を引くのは、頭部の透明なドームです。人間の感覚ではかなり不思議ですが、深海では視界の取り方そのものが地上と違います。周囲は暗く、獲物や敵はかすかな光や影として現れます。
Schmidt Ocean Instituteによると、Winteria telescopaのようなbarreleye fishは、管状の目で上方向からの微弱な光を読み取ります。多くの知識は網で採集された標本に頼ってきましたが、網にかかると繊細な体は傷みやすく、生きた姿の情報は限られていました。今回の映像は、形だけでなく、深海でどう存在しているのかを知る手がかりになります。
海底の“配管”も見つかった
同じ航海では、Doldrums周辺で初めて知られる熱水噴出フィールドも確認されました。大きい方のフィールドには23の熱水噴出孔があり、そのうち13は活動中のブラックスモーカーだったとされています。
熱水噴出孔は、太陽光ではなく化学エネルギーに支えられた生態系を育てます。今回の調査では、アネモネ、カニ、盲目のRimicarisエビなども観察されました。深海のニュースは一匹の変な魚で終わりがちですが、本当は地球の内部活動と生態系がつながる話でもあります。
世間の反応
「透明な頭」というビジュアルは、SNSではどうしてもSF生物のように受け止められます。深海探査の映像は、専門的な発見でありながら、見た瞬間に伝わる強さがあります。
一方で、研究機関側の発信では「まだ調べられていない場所がある」という点が強調されています。珍しい魚の映像は入り口で、その奥には、海底地形、熱水循環、深海生態系の理解が広がっています。
出典
- Schmidt Ocean Institute: https://schmidtocean.org/the-doldrums-fracture-zone-is-anything-but-dull/
- Digital Camera World: https://www.digitalcameraworld.com/photography/underwater-photography/this-discovery-shows-why-exploration-still-matters-scientists-film-alien-esque-spookfish-in-the-wild-for-the-first-time-ever
- YouTube: https://youtu.be/4lFKbYye7Pw
おもせかの一言
透明な頭の魚が出てくると、つい「深海って何でもありだな」と思ってしまいます。でも本当におもしろいのは、変な形にちゃんと理由があるところ。深海は見た目のインパクトで釣ってきて、あとから科学でじわじわ刺してきます。