パリはセーヌ川で街を冷やす。地下120キロの“巨大エアコン”がルーブルまでつながっている

パリはセーヌ川で街を冷やす。地下120キロの“巨大エアコン”がルーブルまでつながっている
Photograph: Christian Hartmann/Reuters / The Guardian

パリの地下には、約120キロにわたる「冷たさの水道」が走っています。

パリ地下の地域冷房設備
Photograph: Christian Hartmann/Reuters / The Guardian

冷やした水を配管で送り、ルーブル美術館、病院、学校、ホテル、オフィスなどをまとめて冷房する「地域冷房」です。運営会社Fraîcheur de Parisは、セーヌ川の水を熱交換に使い、個別の室外機を街じゅうに置く方法とは違う仕組みを運用しています。

川の水を建物へ流すわけではない

セーヌ川の水と建物側の冷水は、薄い金属板を挟んで熱だけを交換します。二つの水は混ざりません。冷えた水が建物へ回り、川の水は少し温かくなって戻ります。

川の温度が十分低い時は「フリークーリング」で冷凍機の負担を下げ、電力消費を抑えます。環境への温度影響は監視され、規制範囲内に保つ必要があります。

エアコンは部屋を冷やし、通りを暖める

一般的なエアコンは室内の熱を外へ捨てます。猛暑日に多くの室外機が動けば、路上はさらに暑くなります。地域冷房は冷却設備を集約し、エネルギー効率と排熱管理を改善できるのが利点です。

パリ市は2042年までに網を約3倍へ広げ、全区の3,000棟以上へつなぐ計画です。ただし20年契約は24億ユーロ規模。地下が混み合う都市では、そのままコピーできません。

世間の反応

街全体を一つの冷房設備として考える大胆さに注目が集まりました。一方、川の生態系への影響、巨額の工事費、一般住宅まで届くのかという疑問もあります。見えない地下インフラなので、効果と負担の説明が欠かせません。

おもせかの一言

ルーブルの涼しさ、実はモナリザの微笑みではなくセーヌ川のおかげ。街のエアコンは、室外機より配管が主役になっていくかも。

出典

  • The Guardian: https://www.theguardian.com/environment/2026/jun/26/underground-revolution-seine-cooling-network-paris-buildings-heat
  • France Chaleur Urbaine: https://france-chaleur-urbaine.beta.gouv.fr/reseaux/7503F
  • City of Paris annual report: https://cdn.paris.fr/paris/2025/09/10/vdp_ra2024_en_20250909-wNqX.pdf