南極点から900キロで森林火災。9,000万年前の地層に炭と“泥炭の始まり”

南極点から900キロで森林火災。9,000万年前の地層に炭と“泥炭の始まり”
Illustration: Alfred Wegener Institute / James McKay

約9,000万年前、南極点から約900キロの場所には、針葉樹と木生シダが茂る湿った森があり、森林火災まで繰り返されていました。西南極沖の海底から採取した堆積物コアに、微小な木炭、火で傷ついた木を覆った琥珀、ミズゴケの胞子が残っていたのです。

研究チームは、火災が森を開き、初期の高層湿原が育つ環境づくりに関わったと報告しました。

約9,000万年前の南極近くで起きた森林火災の復元図
Illustration: Alfred Wegener Institute / James McKay

暗い冬があるのに年平均12度

白亜紀後期のこの地域は年平均約12度で、乾季の後にモンスーンのような雨季が来る温暖な湿地でした。南極圏のため冬には約4か月の極夜があっても、恐竜が歩く森林が成立していました。

木炭の分析では、主に柔らかい針葉樹が比較的低温で燃えた地表火災だったとみられます。火山活動域は当時400キロ以上離れていたため、研究者は雷を主な着火源として推定しています。

火災が泥炭を作った可能性

若い地層ほど木炭が増え、ミズゴケ胞子も多数見つかりました。繰り返す火が大きな木を抑えて地面を開き、炭素を長く蓄える泥炭地の形成を助けた、という筋書きです。

ただし地層は特定地域と時代を記録したもので、白亜紀の南極全域が同じ頻度で燃えたとは言えません。落雷も状況証拠からの推定です。また、古代の温暖世界を現代の気候変動へそのまま当てはめることもできません。

世間の反応

氷の大陸という現在の姿からは想像しにくい景色です。さらに火災が泥炭を壊すだけでなく、長い時間軸では湿原形成にも関わり得るという複雑さがあります。

おもせかの一言

南極の地層から出てきたのは氷の記憶ではなく、森が燃えた小さな炭でした。

出典