海では薄まり、川では濃くなる難燃剤。34種498個体の食物網で逆転
家具や電子機器、建材に加えられる有機リン系難燃剤は、水へ流れ出るとどの生物にも同じように蓄積するわけではありません。中国東北部の海と川を横並びで調べた研究で、ある物質が海では食物連鎖を上るほど薄まり、淡水では逆に濃くなることが分かりました。
調査対象は遼東湾と松花江で採取した34種、498個体です。

8物質のうちTCEPだけが川で濃縮
研究チームは8種類の有機リン酸エステルを分析しました。海の食物網では8物質すべてが上位捕食者ほど薄まる「生物希釈」を示しました。一方、川ではTCEPが食物段階を上るほど増え、栄養段階濃縮係数は1.75でした。
淡水では植物プランクトンが複数の物質を強く取り込みました。塩分、pH、溶存有機炭素などが、生物へ入りやすい状態や排出されやすさを変えた可能性があります。同じ化学物質でも、水域の条件でリスクの動きが変わります。
一つの海域と河川からの結果
推定上、魚介類を食べることによる非発がんリスクは低い水準でしたが、松花江のTCEPでは発がんリスク指標が注意を要する範囲に入る試料がありました。ただしこれは濃度と摂取量を使ったモデル評価で、実際の発症を観察した研究ではありません。
また調査は中国東北部の一つの湾と河川で行われました。すべての海と川に同じ結果を当てはめず、地域ごとの食物網と水質を測る必要があります。
世間の反応
「海で薄まるから川でも同じ」と考えると、監視すべき場所を見誤ります。化学物質の名前だけでなく、どの水環境を通るかまでリスク評価に含める重要性が見えます。
出典
- ENGINEERING Environment: https://doi.org/10.1007/s11783-026-2275-9
- Chinese Academy of Sciences / Newswise: https://www.newswise.com/articles/toxic-flame-retardants-behave-differently-in-saltwater-versus-freshwater-food-webs-study-finds-tcep-biomagnifies-in-rivers-while-diluting-in-oceans
おもせかの一言
同じ難燃剤でも、海では下り坂、川では上り坂。水の違いが食物連鎖の向きを変えていました。