イタリアの海なのに、砂浜へ入れない。海岸の43%を占める“有料ビーチ”との長い戦い
イタリアの海辺では、海が見えているのに砂浜へ入れないことがあります。
海岸には「リド」と呼ばれる民間施設が並び、パラソルとデッキチェアを借りて利用します。The Guardianによると国内に約3万あり、環境団体Legambienteの2022年調査では、砂浜の約43%を民間事業が占めていました。

無料ビーチは遠く、設備も少ない
無料の「spiaggia libera」はありますが、河口や岩場など条件の悪い場所に追いやられ、トイレ、ゴミ箱、監視員がないこともあります。町によっては海岸の9割以上がリドという例も報じられています。
一方、リドは砂を整え、救助員やシャワー、飲食店を用意します。家族が毎年同じ場所を借り、夏の共同体を作ってきた文化でもあります。問題は有料施設の存在より、公共の海への入口まで事実上ふさいでしまうことです。
格安の使用料で長く更新されてきた
リドは国有地の使用許可を受ける仕組みですが、長年、自動更新に近い形で同じ事業者が営業してきました。記事では、かつて最低年間使用料が364ユーロだった一方、業界全体は数十億ユーロ規模と推計されています。
EUは2006年のサービス指令に基づき、限られた公共資源の許可は透明な公募にすべきだと求めてきました。イタリア政府は期限延長を繰り返し、既存事業者の生活と競争、公有財産へのアクセスが衝突しています。
「海を解放する」市民運動
市民団体Mare Liberoは、柵の撤去や公共通路の確保を求め、座り込みや訴訟を続けています。ナポリ近郊では、長く閉ざされていた浜への自由なアクセスを裁判で勝ち取った例もあります。
世間の反応
整備された場所に料金を払うのは当然という意見と、海岸そのものを私有地のように扱うのはおかしいという意見が対立します。観光地の快適さを支える仕組みが、公共空間を細切れにしているのが難しいところです。
出典
- The Guardian: https://www.theguardian.com/world/2026/jul/19/italy-private-free-beaches-campaigners-mafia-military
- EUR-Lex: https://eur-lex.europa.eu/legal-content/AUTO/?qid=1768584788858&rid=2&uri=CELEX%3A62024CN0464
- European Parliament: https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/PETI-CM-519658_EN.pdf
おもせかの一言
海は無料、でも海までの砂浜は有料。地図では一本の海岸線なのに、現地では細かく席割りされている。